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ジョニ・ミッチェル『ザ・リプリーズ・アルバムズ( 1968-1971)』
発売中
ALBUM
ジョニ・ミッチェル ザ・リプリーズ・アルバムズ( 1968-1971)

昨年スタートしたジョニ・ミッチェルの『アーカイヴス・シリーズ』の一環のリリースだが、今回は未発表音源はなく、リマスタリングした最初期4枚のボックス・セットだ。67年に離婚を経てニューヨークへ出た後、ジョニは主だったフォーク・アーティストに楽曲を提供し始め、ソングライターとして知られるようになっていたが、そのソロ・パフォーマンスをフロリダで目撃したザ・バーズのデイヴィッド・クロスビーは彼女をロスへ連れ帰り、やがてレコード契約へと導くことになった。

1st『ジョニ・ミッチェル』のプロデューサーを請け負ったデイヴィッドはフォーク・ロック的な編成ではなく、ソロ・アコースティックに徹して制作すべきだとレーベルにかけあい、その功績は大きかった。

しかし、音響効果を狙ったグランド・ピアノの中に向かって歌うというアプローチが災いして音源にノイズが発生。その処理のため、高音域が失われどこかのっぺりした音になってしまった。ジョニはこれをずっと残念に感じていて、今回、初めて新しいミックスを施し、よりソロ・アコースティックにふさわしい音像を蘇らせているのが、大きな聴きどころとなっている。

作品的には、楽曲とパフォーマンスの両面において卓越したセンスと新しさを誇るフォーク・アーティストから、自身の想像力とインスピレーションの赴くままに楽曲もサウンドも広げていくジョニの姿を追った内容で、『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』を経て名作『ブルー』でそれはいったん極まることになる。

自身の経験や心象、さらにかつて手離した娘について歌った“リトル・グリーン”など、自在に楽曲と心情を綴れるようになった足跡となっている。なお、この時期の未発表音源については10月にリリース予定。(高見展)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。

ジョニ・ミッチェル ザ・リプリーズ・アルバムズ( 1968-1971) - 『rockin'on』2021年8月号『rockin'on』2021年8月号

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