自由精神を謳歌したライブ盤

グレイトフル・デッド『グレイトフル・デッド(50周年アニバーサリー・エクスパンデッド・エディション)』
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ALBUM
グレイトフル・デッド グレイトフル・デッド(50周年アニバーサリー・エクスパンデッド・エディション)

アメリカの伝説的バンドであり、生粋のライブ・バンドとして名を馳せ、60年代後半のヒッピー文化やフラワー・ムーブメントを牽引したグレイトフル・デッド。数年前にサンフランシスコのレコード店に入った際、彼らのサイケなポスターが壁一面にびっしり貼られていて、今なお絶大な影響力を誇るバンドであることを痛感した。

そして、今回アルバム発売50周年アニバーサリー企画の第6弾として登場したのは、バンドにとって2作目になる本ライブ盤。即興演奏の醍醐味を真空パックした23分に及ぶ“Dark Star”を収めた1作目にあたるライブ盤『LIVE/DEAD』はあまりにも有名だが、いやいや、こちらも素晴らしい名演がたっぷりだ。

ドラム・ソロを含む18分の“The Other One”のサイケかつ流麗な演奏を筆頭に、チャック・ベリーの“Johnny B. Goode”、ジャニス・ジョプリンのカバーで知られる“Me & Bobby McGee”も実に味わい深い仕上がり。どちらかと言えば、実験的な側面というよりも、カントリーやフォークなどルーツ音楽に傾斜していた時期ゆえに、水墨画のごときシンプルな演奏が淡々と続く。とはいえ、作品トータルで起伏に富む内容になっているので入門編にも是非オススメしたい。

また、CD2の未発表(!)音源はフィルモア・ウェスト公演(71年7月2日)の模様を収めた全10曲入り。こちらも音質は良好で、CD1から続けて聴いても違和感は覚えず、冒頭の“Good Lovin’”から17分にわたる快演で幕を開ける。アメリカの自由精神を象徴する彼らの開放的な演奏は肩の力を抜いて楽しめるものばかり。

バンドのキー・ビジュアルともなったスカル&ローゼズなアートワークも秀逸なので、手元に置いておきたい1枚である。(荒金良介)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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グレイトフル・デッド グレイトフル・デッド(50周年アニバーサリー・エクスパンデッド・エディション) - 『rockin'on』2021年8月号『rockin'on』2021年8月号

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