《何も持っていないハズの/僕らがドキドキしている》――ハンブレッダーズは新曲“ワールドイズマイン”でそう歌う。彼らは知っている。お金も、数字も、あの娘の心と体も、永遠に「手に入れる」ことなんてできないということを。「所有」なんて幻想。「私」が「私」であること以外に、この世界で持ち得るものなんて何もない。この曲を聴いていると思い出す。そうだった、ロックバンドとは、「持たざるもの」が「持たざるもの」のまま世界と直結しようとする、愚かで崇高な試みのことだった。
「世界は私のもの」。そう嘯くあなたは空っぽで、溢れていて、なんて美しいんだろう。時代との軋轢を前提に抱えながら、それでも愛と興奮と音楽だけを信じる3曲入りシングル。(天野史彬)