リリースとしては昨年11月のシングル『Torch of Liberty』から約8ヶ月半ぶり。久しぶりにKANA-BOONの新曲が届いた。谷口鮪（Vo・G）の復帰第1弾の楽曲となる今作は、“HOPE”というタイトルが指し示す通り、「希望」を歌った歌だ。ミドルテンポで響くギターロックの明快なサウンド、滑らかにまっすぐに耳に飛び込んでくる谷口の歌声。そのすべてに、再び動き出したKANA-BOONの強い決意が滲む。そして《人生はハイスピードで流れていく／一歩も止まれない／そんなじゃ疲れちゃう／今夜はゆっくり眠っていいよ》と語りかけるように歌う声に、今この忙しなく困難な時代を生きるすべての人への優しい眼差しを感じる。立ち止まってもいい、また歩き出す日がすぐに来る──その「希望」が綺麗事でも絵空事でもなく、リアルにズシリと心に響くのは、やはりKANA-BOONだからこそだと思う。《涙が燃え尽きてしまうまで生きよう》という最後の歌に続くアウトロのギターの長いサステインが、この先へと続いていくみたいに、未知なる未来にある光のように響く。これは清かな希望の歌。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』10月号より