窓から入り込んで爽やかに身を撫でるそよ風のような1曲目“Make my day”から、地に落ちた花や葉を巻き上げるささやかなつむじ風のような最終曲“Ask him.”に至るまで、切なくも穏やかな時間がアルバム一枚を通して流れている。バンドのアンサンブルに大仰な派手さはなく一見シンプルだが、そのシンプルさの奥に、繊細に作り込まれた一音一音の響きや重なり、豊かな楽器の絡み合いが存在している。この奥ゆかしさに、バンドの芯の強さを感じる。兼丸(Vo・G)の詩情は、恋や生活の中にある「届かなさ」や「捉えきれなさ」をしっかりと見つめていて、それを、もどかしそうにも、愛おしそうにも、描いている。その眼差しは、日々を肯定しようとする優しさに満ちている。(天野史彬)
シズゴの「足跡」と「今」
the shes gone『SINCE』
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ALBUM
窓から入り込んで爽やかに身を撫でるそよ風のような1曲目“Make my day”から、地に落ちた花や葉を巻き上げるささやかなつむじ風のような最終曲“Ask him.”に至るまで、切なくも穏やかな時間がアルバム一枚を通して流れている。バンドのアンサンブルに大仰な派手さはなく一見シンプルだが、そのシンプルさの奥に、繊細に作り込まれた一音一音の響きや重なり、豊かな楽器の絡み合いが存在している。この奥ゆかしさに、バンドの芯の強さを感じる。兼丸(Vo・G)の詩情は、恋や生活の中にある「届かなさ」や「捉えきれなさ」をしっかりと見つめていて、それを、もどかしそうにも、愛おしそうにも、描いている。その眼差しは、日々を肯定しようとする優しさに満ちている。(天野史彬)