昨年1月にリリースしたミニアルバム『theory』以来、約13ヶ月ぶりとなる待望の新曲。パワフルなビート、躍動するベース、ブライトなギターで築き上げたアップテンポのバンドアンサンブルが、これまでにないほどストレートに陽のエネルギーを発している。楽曲の前半では「永久凍土」を「ユートピア」に喩え、閉じこもり、閉じ込められた世界で、自身を守り続けて生きる自由と、その裏で感じる息苦しさとが描かれる。そして自身にとっての真の「ユートピア」とはどこにあるのか――その答えを模索しようという能動的な意思と、凍土から目覚めるための体温を取り戻すかのように響く、間奏のきらめくギターソロから後半にかけて、《ただ、確かな雪解けの気配》《響く心臓の音が近い》と歌うナカシマ(Vo・G)。その歌声がより一層の力強さを感じさせる。おいしくるメロンパンの魅力のひとつである、寓話的な抽象性を持つ歌詞が、今作ではいつになく具体性と時代性を帯びたメッセージとして響くのが興味深い。有機的な変化、バンドサウンドの更新の兆しに、次作への期待も大いに高まる。(杉浦美恵)
凍土を解かすような熱を放つ歌
おいしくるメロンパン『Utopia』
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