デビュー30周年を記念した2枚のベスト盤『Mr.Children 2011 - 2015』と『Mr.Children 2015 - 2021 & NOW』。この2作を聴けば、改めて2011年からの激動の10年にも彼らの音楽は常に時代とともにあったことを実感する。『2011 - 2015』では、東日本大震災後しばらくして届けられた“祈り ～涙の軌道”や“End of the day”。それから数年後も日々晴れぬ気持ちで観ていたニュース番組、そのエンディングで穏やかに響いた“進化論”、そして2015年の豪雨の日産スタジアムライブを思い起こす“未完”。どの楽曲も、その時代の風景を、感情を連れてくる。『2015 - 2021 & NOW』では、映画『バケモノの子』の主題歌となった“Starting Over”やNHK朝ドラ『べっぴんさん』主題歌“ヒカリノアトリエ”、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』主題歌“Birthday”など、包み込むように、そして人々の背中を押すように、依然色褪せることのない楽曲が並ぶ。2作で綴る濃密なクロニクル。そこから「その先」へと誘うように、新曲“永遠”が普遍の生の瞬きを刻みつけ、“生きろ”が壮大に広がる未来への希望を歌うのだ。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より