昨年11月2日に行われたMONOEYESの日本武道館公演を収録――と、シンプルには語れない今作。2020年にリリースされた3rdアルバム『Between the Black and Gray』リリース後のツアーが、コロナ禍でセミアコースティックに、初の日本武道館公演も無観客配信へと変更。そして2021年、様々なルールの中で遂にツアーが開催され、日本武道館も有観客でリベンジしたのだ。前年はなかった人の温度を映像からも感じる。スコットがクラップを煽ってほぐれていく緊張感。戸高のオーディエンスともぴったり合ったジャンプ。一瀬の来られなかった人を思う言葉。そして、細美が口を開いた時の万雷の拍手。美声のパンダ……ではなく、2020年に続いて参加したTOSHI-LOWの存在も含めて、MONOEYESの物語が刻まれている。さらに、全31公演に及ぶツアーに密着したドキュメントも秀逸。ナチュラルに活動を追いかけながら、ハッとする言葉や場面を捉えているのだ。やっぱり私は、どんな状況でもバンドに憧れ続けるし、ライブハウスを居場所と思い続ける。そんな自分の心のうちも見えてくる。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より