進化というか最適化かもしれない

Kroi『telegraph』
発売中
ALBUM
Kroi telegraph
まず、13曲というボリューム。そもそもKroiはあらゆる音楽を噛み砕いてミクスチャーしながら落とし込んでいく、つまり1曲の中にとてつもない情報量が詰まっているバンドなのであり、そういう曲が13個ずらりと並んだ時の迫力や圧は相当なものである……はずなのだが、実はそれだけではないところがこのセカンドアルバムのすごさである。ポップなのだ。見た目、ライブでの人を食った感じ、ナンセンスかつ意味深な歌詞、などによってどちらかといえばシーンに混入した異物のような見方でこのバンドを見ている人もまだいるかもしれないが、そういう人こそこのアルバムを聴いてほしい。さまざまな音楽的なルーツが内田怜央というフィルターを通過し、濾過され、消化されて排出されるという基本構造は変わらないが、そのフィルターの機能が爆発的に向上して、出てくるモノのキメが細かくなり、形がはっきりしている。それによって歌詞で描かれる風景もグッとビビッドに立ち現れる。歌謡ポップな“Funky GUNSLINGER”とか日本人の琴線を震わすリゾートソング“熱海”あたりはまさにそれ。(小川智宏)

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