『the meaning of life』からきっかり1年というスパンで届けられる2作目のアルバム。前作では気鋭ソングライター陣とともにその歌唱表現の幅広さを知らしめ、さらにその後は第一線でキャリアを重ねるソングライターたちと現行カルチャーの一端を担うタイアップ曲の数々を発表してきた。本作も、収録曲の多様なヴァイブゆえにyamaの実力の底知れなさが際立ってしまう一面があるのだが、直近の先行曲“Lost”（作詞・作曲は百田留衣）はディープな内省をじっくりと歌い上げた美曲であり、yamaもTwitterを通じて「音楽を始めてから今に至るまでの自分の人生や精神性と重なるところがあります」とコメントしている。yamaという才能を矮小化することなく身近に感じさせ、今回のアルバムにも一本の軸を通す重要曲と言えるのではないか。また、yama自身が作詞・作曲した“マスカレイド”は、音楽家としてのアイデンティティを積極的に引き受ける覚悟が滲んだダンスポップ。一流ソングライターたちが手掛けた華やかな楽曲群にもひけを取らない一曲であり、9月から始まるツアーでの活躍に期待がかかる。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』10月号より