yama × ぼっちぼろまるによる楽曲“ハロ”、優しい強さをもったこの楽曲に出会えてよかった

yama × ぼっちぼろまるによる楽曲“ハロ”、優しい強さをもったこの楽曲に出会えてよかった
yamaと「音楽で地球侵略を目論む、ぼっち星からやってきたミュージシャン活動を行う地球外生命体」ぼっちぼろまるの特別ユニットによる楽曲“ハロ”は、TVアニメ『ポケットモンスター』のオープニングテーマに起用されている。

一聴して、強い歌だ、と思った。その「強さ」はたくましくて屈強で周囲を圧倒するようなものではなくて、すべてを包み込んで認めてくれるような優しい強さだ。


バンドサウンドによるシンプルでキャッチーなメロディと、ハモリなどは入れずyamaとぼっちぼろまるが同じメロディを歌う歌唱パートの構成からも、アニメを観る小さな子どもも一緒に歌えるように、というふたりの優しさが垣間見える。

冒頭、《さぁ 進め 雲つきぬけ》とふたりの声が聴こえた瞬間に目の前が開けていくような感覚は、登場人物たちが自らの力で困難を乗り越え道を切り拓いていく『ポケットモンスター』の世界と見事にマッチしている。幼少期から『ポケットモンスター』が大好きだったというふたりだからこそ作ることができた歌なのだろう。

一方、意外にも歌詞は大人に向けて書かれたものであるように感じる。《言えなかったあの言葉を/思い出しては 潜った》《いつかさ 振り返んだ/あの真っ赤な夕焼けを》《長い長い旅路 その果てに/君を思い出す》《いつかさ ふざけあって/ふたり 歌った 夢の歌/ずっとポケットに入れたまま》《嬉しくて 悲しくて/何千回 泣いた日々を/さぁ 誇れ》など、大人になった「今の自分」が「過去の自分」を懐かしく振り返るような描写が続く。

そのうえで、《きっといつか 大事にしてきた/虹の花が咲く/ずっと 失くさないように/歩こう》と続く歌詞からは、上手くいかなかった後悔も胸を締めつけるような思い出も、《虹の花が咲く》ためのかけがえのない経験であり、「過去の自分」から地続きの「今の自分」をまるごと抱きしめて肯定したいと思える優しさに溢れている。

そして大人だけではなくこの歌詞を見た子どもにとっても、これから経験する、嬉しい/楽しいだけではないさまざまな出来事も、いつか誇りに思える日が来るのだと、先の見えない未来へ一歩踏み出す勇気を与えてくれるだろう。

この歌の優しい強さを受け取れば、今の自分がなんだか誇らしく思えるパワーが湧いてくる。この歌に出会えてよかった。(藤澤香菜)


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