青春と青春が響き合う

ASIAN KUNG-FU GENERATION『出町柳パラレルユニバース』
発売中
SINGLE
ASIAN KUNG-FU GENERATION 出町柳パラレルユニバース
規格的にはシングルだが、4曲並ぶと充実度の高い感情が浮かび上がる、「EP」とすら呼びたい一枚である。アジカンの青春と、森見登美彦作品主題歌三連作(“迷子犬と雨のビート”“荒野を歩け”)の主人公の青春と、聴き手の青春が響き合って、そして未来を照らしてくれる作品。1曲目ではアニメ『四畳半タイムマシンブルース』の登場人物たちの京都での青春をUKロックを基盤にして描き、次にアジカンが敬愛するウィーザーのカバーを鳴らし(ゲストボーカルはAAAMYYYという至高の人選)、後半の2曲ではメンバー4人が神奈川で過ごした青春と少年の頃から変わらないウィーザーやザ・ビートルズへの愛を放出させる。三連作を聴けば歌の主人公の変化も見えてくる。私はPodcast番組を一緒にやらせてもらう中で後藤さんから音楽や社会との向き合い方に「こんな道もあるよ」と手招いてもらう感覚を受け取っているのだが、三連作の主人公も書き手に手招かれているのだと想像する。人生にタイムマシーンはなく積み重ねで成るからこそ好きなものを堂々と深く愛して波を乗りこなそうぜ。(矢島由佳子)

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