その「音」に何が込められているか

ゆず『YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you-』
発売中
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ゆず YUZU ARENA TOUR 2022 PEOPLE -ALWAYS with you-
追加公演「SEES」編に続き、アリーナツアー本公演ファイナル(8月3日)の模様もダウンロード/ストリーミング限定のライブアルバムとしてリリースされた。ゆずのふたりの熱量を余さず増幅させるバンドの演奏がまた凄まじいツアーだったし、声は無くともオーディエンスの力量をこれでもかと引き出す“贈る詩”~平均化された能力優先の風潮をぶった斬る骨太メロディ“六角形”~命の重さごと慈しみの心を描く“風信子”という前半戦の流れだけでも、興奮&感涙必至の一夜である。「横浜アリーナ出演回数歴代1位のゆずでございまーす!!」という25周年のツアーは伊達ではない。コロナ禍の孤独や社会の分断と取っ組み合い、そこにこそ音楽活動の意味とモチベーションを見出してきたゆずの姿勢は、このライブ音源の中にも確かに刻まれている。《いつか君の泪がこぼれおちそうになったら何もしてあげられないけど/少しでもそばにいるよ……》。今もゆずはあの“夏色”の一節を追い求めるようにしながら、何もしてあげられない無力感の隙間に音楽を注ぎ込んでいる。心震わせてやまない、実践の記録だ。(小池宏和)

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