彼ら自身が『ヤバすぎるスピード』で駆け抜けていると言っても過言ではないハンブレッダーズが、前作『ギター』から約1年でリリースする3rdフルアルバム。まず、青春感たっぷりのロックバンドが、宇宙にまつわる歌詞をちりばめちゃうの反則！ アルバム1曲目からエモーショナルすぎて、泣くに決まってる。そんな楽曲のタイトルは“起きろ！”。まさに、眠るようにぼんやりした日常から、叩き起こしてくれるキラーチューンだ。

そして、キラーチューンはこれだけではない。イマドキなフレーズを織り交ぜて2022年のリアルを見せつつも、古今東西のバンド好きをときめかせる楽曲を、次から次へと畳みかけてくる。しかも、勢いはあるけれどラフではない、1曲ごとに練り上げられたアレンジとアンサンブルを聴かせ、歌詞も色とりどりの場面に寄り添う共感性を帯びながら、詩的なセンスを秘めている。ピュアな精神性はそのままに、音楽的にはグッと洗練されてきていると思う。この完全無欠のスピードにのって、もっとロックに恋する人が増えてほしいなあ！ そんな希望を抱かずにはいられない。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』12月号より