昨年の『cubism』でかつてないほどオープンでポップな一面を見せたおいしくるメロンパンは、ライブツアーを経てその躍動感をさらにアップデートさせたのだと思う。新作『answer』が描き出す音像はさらにブライトでビビッド。ナカシマ(Vo・G)のボーカルにも確信的な強さを感じる。まず“ベルベット”の冒頭の高らかな歌声の響きに、バンドとしてフィジカルな躍動を意識しているのを感じ取った。峯岸翔雪(B)は“夜顔”と“garuda”のレコーディングで初めて指弾きではなくピックを使ったと以前話してくれたが、楽曲の強度が自然とそうさせたのだろう。溶け合うアンサンブルの中にも分離の良さを意識したバンドサウンドが、さらに「歌」とともに鮮烈に響き渡る。そして、従来からのおいしくるメロンパンらしい自由度の高い構成が光る“マテリアル”の完成度の高さも改めて実感。“波打ち際のマーチ”では原駿太郎(Dr)のスネアが有機的なリズムを刻み、生音のアンサンブルとコーラスワークがより柔らかでドリーミーな景色を映し出す。バンドがたどり着いた『answer』、その音はとても眩い。(杉浦美恵)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)
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光のような眩さ、さらなる躍動感
おいしくるメロンパン『answer』
2023年04月19日発売
2023年04月19日発売
MINI ALBUM