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BiSHの歴史を祝福する誇りに満ちたベストアルバム。何より「再録」6曲が心を揺さぶる。まず“オーケストラ”での、《見上げたあの夜空に/浮かぶ星達/ふと君の声が/あの頃輝いてたかな?》というセントチヒロ・チッチの歌い出しにBiSHのこれまでがフラッシュバック。アイナ・ジ・エンドの堂々たる歌唱、ハシヤスメ・アツコの落ち着きある歌声――たくましく進化を続けてきた軌跡がここに。ライブで幾度もクライマックスを見せてきた“BiSH-星が瞬く夜に-”や“プロミスザスター”はブレスの音も生々しく、その歴史ごと刻み込むような切実な歌声は、「楽器を持たないパンクバンド」としての矜持を最後まで全うしたことを表す。“スパーク”では《不安だな》と歌うモモコグミカンパニーの歌声にもいまや自信が宿り、“サラバかな”はこれが終わりであり始まりであることを告げる。当時リンリンが初めて歌詞を手がけた“beautifulさ”が今また沁みて、《晴れた明日へと 行こうぜ》と歌うアユニ・Dの歌声は清々しく、まばゆい。(杉浦美恵)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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