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彼らの才能と行動力に疑いの余地はないが、それにしても昨年来のSEKAI NO OWARIはちょっと手のつけられない状態が続いている。出てくる曲はすべて違うベクトルでまさにバンドの「最高到達点」を記録し、それはライブでもミュージックビデオなどのクリエイティブでもそう。肩の力が抜けているようにも、思いっきり力こぶを作っているようにも見える、そんな状態をきっと文字通りの「最強」と呼ぶのだろう。この“最高到達点”はそんな彼らの現状を思いっきりビビッドに描き出す一曲。止まることのないダンスビートとリフレインするシンプルなメロディ、オーケストラがスケール感を与えるさまは、大きな帆に風を受けて進む巨大な船のようだ。そしてそんなサウンドに乗せて歌われる歌詞が、その巨大な船を前へ前へと進める原動力がなんなのかを教えてくれる。《こんなところで止まってたら/無くしたものが輝かなくなる》。アニメ『ワンピース』に託しながら、この曲はセカオワのなんたるかを雄弁に物語っている。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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