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今作で唯一未発表だった表題曲“BACK”で、WurtSは世間の「WurtS像」を鮮やかに裏切ってみせた。カラフルなシンセの音は影を潜め、アコギの音色とエモーショナルなリフが印象的なイントロは90年代UKロックを想起させる。歌詞は、語感のいい言葉の並びから徐々に詞の世界が浮かび上がってくる構成ではなく、シンプルでストレートな言葉で、君への未練を断ち切れない自分を表現している。この生身で剥き出しのWurtSは、SNSにアップした弾き語りデモ曲などを通してこれまでも内々に見せていた姿ではあった。しかしそれを前面に出したのは、初の有観客ライブを行った昨年4月以降、各地で開催したライブや数々のアーティストとのコラボレーションを糧にして得た、「WurtSの音」に対する確固たる自信と、それを受け止めるリスナーへの揺るぎない信頼の表れだろう。WurtSはXで「“BACK”はライブで演奏する前提で作った曲」と発信している。この曲とWurtS自身が、今後ライブでどう進化していくのか楽しみでならない。(藤澤香菜)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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