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ドラマ『時をかけるな、恋人たち』に書き下ろされた今作。歌詞の随所やテープを巻き戻すような間奏の音から、タイムトラベルをテーマにしたストーリーを彷彿とさせるが、PEOPLE 1にかかればトラベルするのは時間だけではない。巧みに使われる電子音や「ナナナナナナナナ」という女声コーラスで作り上げられる世界観は、地球を飛び出して宇宙を漂っているような浮遊感がある。そんな、PEOPLE 1らしい遊び心満載なサウンドでありながら、この曲が切なさの宿るポップスに仕上がっているのは、やはり文学的な歌詞によるところが大きいように思う。中でもサビの歌詞には唸った。《1000年経って2000年戻って/化石になって機械になったって/振り返らずに朽ちてゆけ》――Deuは「一緒に生きる」ことではなく「朽ちる」ことを選ぶ。たとえ人の姿を保てなくなっても、どんな状況に身を置いても、ふたりでいられるなら思い残すことはない……このサウンドに油断していた。この曲は、PEOPLE 1が描く究極の愛だ。(藤澤香菜)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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