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吉井和哉の病気の公表、ほかにも稀代のボーカリストたちに纏わる悲しいニュースが続いた2023年末。少しでも希望のある年になってほしいと願って迎えた2024年。その初日、リリースと同時に公開されたMVを再生し、開始1秒で「大丈夫、信じよう」と思えた。重苦しい曇天の下、横転したトラックの上に立つ4人の背中。まるで映画のようなケレン味溢れるムードを含め、これほど見惚れてしまう頼もしい背中があるだろうか。そして始まるのは、EMMAの軽妙洒脱なリフと、HEESEYの分厚いウォーキングベース。ANNIEの細やかなフレージングに誘われて歌い出す吉井の声も、力まず艶やかだ。正月だろうが、4年ぶりの新曲だろうが、ただロックバンド・イエモンの「いつもの」かっこよさを示すだけで、こんなにも希望になる。《人生の7割は予告編で/残りの命 数えた時に本編が始まる》と真理を鋭く突くフレーズでドキリとさせつつ、《煌めく太陽の下 抱き合いたいな》と締め括る彼らに、ついていきたいと思う。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
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