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楽器隊のプレイはますます有機的に絡み合い、そもそも勘の良さが光っていたCLRことラランド・サーヤの歌もフロウも明らかに覚醒していて(“PEAK TIME”の《徹子の部屋》と《玉ねぎヘア》でここまでかっこよく韻を踏めるのも、“スケベなだけで金がない”のどうしようもないリフレインをこんなにクールに響かせることができるのも彼女だけだろう)、バンド全体が呼吸している。川谷絵音のプロジェクトではままあること、というかそもそもバンドってそういうものなのかもしれないが、コンセプチュアルにスタートしたプロジェクトがあっという間に自立し自分の足で歩き始めた感じ。たとえば春日山こと休日課長の歪んだベースと簸こと木下哲&晩餐こと川谷のノイジーなツインギターがシリアスなムードを演出する“オーバーキル”や、foot vinegarことGOTOのドラムを軸にテンションの高いアドリブを繰り広げる“Chaos”など、それぞれのポテンシャルが爆発したアンサンブルは、クールを通り越してエロくすらある。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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