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anoが作中で演じた「おんたん」と同じく、強い想いから自分で未来を変えようと動ける凛々しさや不器用な人の居場所になれるしなやかさを持ち合わせている人物だからこそ、作品を知る人には幾田りら演じる「門出」へ向けた言葉が熱を持って響き、作品を知らない人には逃避したくなる毎日をやり過ごすためのエールになる。そう思わせる強さと優しさが、この曲には詰めこまれている。《地球が壊れたよ 二人で空飛ぼう♪》のたった一節が、いかに原作を鮮やかに物語っていることか。彼女たちから放たれる《無防備でもボロボロでも美しいから》というたったひとつの叫びが、いかに胸の奥へと真っすぐ飛んでいくことか。また、「普段の幾田りらでは聴けない歌声やワードを引き出したい」というanoの企みもしっかりと実現されている。とはいえ、《クソ平和》や《オワタ》といった言葉を発しても違和感がないのだから、幾田もさすがの手腕だ。感情を届けるではなくぶつけるような、TK仕込みの鮮烈なシャウトも注目必須。(坂井彩花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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