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発声も解禁になり、ライブシーンはコロナ禍前に戻りつつある。日常が戻るのと同時に、辛かったことを忘れていくのが人間の性だ。しかし、2020年からの3年間で失ったもの、変わってしまったものは確かにあって、その先に立っているのは事実。THE ORAL CIGARETTESは、あえて今、その事実を見据えてEP『MARBLES』を作り上げた。収録されているのは、すべてコロナ禍中に生まれた5曲。そこには、葛藤と苦しみの中で希望を求めてもがくリアルな姿が刻まれている。《未来はどこ》と喪失と向き合う“隣花”、淡々と進むビートに乗せて《もう終わらせはしないよな》と言い聞かせる“IZAYOI”。反骨心溢れるロックで奮い立たせ、コロナ禍中のライブで火をつけ続けてきた“Red Criminal”と“MACHINEGUN”。ラストの壮大なバラード“聖夜”が、すべての想いを昇華するレクイエムのように響く。ただ未来を目指すのではなく、過去の傷も後悔も肯定したうえで踏み出す一歩は重い。彼らの強さを改めて証明する1枚だ。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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