【JAPAN最新号】すべては「個人」の内省から生まれる。“催し”が「大森元貴」のソロ作品であるべき理由

【JAPAN最新号】すべては「個人」の内省から生まれる。“催し”が「大森元貴」のソロ作品であるべき理由
 4月にMrs. GREEN APPLEのフェーズ3における中長期の活動プランが発表され、そのスケール感に、いまだ実際の想像も追いつかないでいるところではあるが、そのミセスの壮大なロードマップから枝分かれするかのように、大森元貴はソロ名義の活動も同時並行的に積極的に行う姿勢を見せている。今年2月には1stソロミニアルバム『OITOMA』がリリースされ、その内容の深遠さ、そしてミセスでの表現よりも大森自身のパーソナルをより近くに感じられるような音楽世界に触れ、彼の豊かな創作意欲に改めて驚いた。どれだけミセスでの活動が多忙を極めようとも、彼には今、大森元貴個人としてのアウトプットが必要なのだということも、その作品から強く感じられた。ミセスもソロも(それが何かの作品の主題歌だったりタイアップ前提の曲だったとしても)大森個人の思想から楽曲が生まれてくるということに変わりはないかもしれない。ただ、ミセスの楽曲からは、思考の行き着く先、その途中で得る気づき、あるいはなんらかの答えの提示、もしくは未来に希望を持つための思考の端緒みたいなものを常に感じ取ることができる。

近年で言えば“天国”のような例外もあるが、あの曲は、ミセスのコンセプチュアルな(特にストーリーラインでの)ライブで「効いて」くるという確信が大森の中にあったはずだし、他の楽曲が示す、微かでもどこかポジティブに示される死生観の「対概念」として必要な楽曲であったと解釈している。つまり、“天国”に明確な物語としてのエンディングが存在しないことも、その思考の歪さも、実にミセスらしい緻密さを伴って制作されていたということだと思う。“クスシキ”のフリーキーさもそうだろう。どんな曲であれ、ミセスの楽曲は、そこに「意図」があると言っていい。なんとなく思い浮かんだこと、日々とりとめもなく考えていること──それらが楽曲を作り始める端緒となることは間違いないのだろうが、そこからミセスの楽曲として、エンターテインメントとして完成させるものと、あえて大森個人の思想や嗜好を色濃く残したままにしておきたいものとに分けられるのではないかと思う。 (以下、本誌記事に続く)

文=杉浦美恵
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年7月号より抜粋)


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