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チャールズ・チャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」をモチーフに生み出した今作のタイトル曲である“新喜劇”は、オルタナティブミュージックを追求するニコタンらしさが詰まった一曲。突然ダークで悲劇のようなマイナーキーのAメロで複雑怪奇な世界観に引き込まれたかと思えば、随所にメジャーコードが顔を出し、ラスサビでは耳を疑うほど明るく喜劇を表すようなメジャーキーに転調する。また、軽快でポップなメロディなのに裏でSFチックなシンセサウンドや重く響き渡る肉感的な生のドラムが鳴っていたりと、すべてが絶妙なバランスで成り立っている音の重なりに今まで感じたことのない心地のよい違和感と満足感を覚えた。ものの見方や捉え方によっては、すべての出来事は悲劇でもあり喜劇でもある。そんな相反する世界の境界線を、多種多様なサウンドを混ぜ合わせて溶かしているこの曲を通して「悲劇を喜劇に変えられるのは自分自身だ」と感じることができ、心が救われた。(伊五澤紗花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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