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昨年の“花”と同様、今年リリースされた作品の中でも指折りの評価を得ているチャーリーxcx『BRAT』のメインプロデューサーを務めたA.G.Cookとのタッグで制作された楽曲。タイトなビートが「地」、浮遊するシンセが「天」とすれば、その中間の「空」を漂うように包容力に満ちた声を放つ藤井 風のボーカル。プロフェッショナルに作り込まれた夢見心地の音像である。《忙しない街も黄昏れ/僕らは風に揺られて/心は言葉を失くして/感じられるは愛だけ》というラインが物語るように、リリックの主題は「揺らぎ続ける生活の中いかに愛を感じ取るか」ということ。言い換えれば、どんな地獄にあっても音楽という「神」に触れていれば(Feelin’ God)、気分は最高(Feelin’ Good)だということだ。彼は「4つのシングルをリリースした後の、かわいいデザートみたいな曲になりました」と述べているが、このポップの神髄を抽出したような楽曲をそうした温度感で提供してしまう様に、またしても天井無しの鬼才であることを痛感させられる。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋)
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