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リスナーを独自の歌詞世界に引きずり込み、それぞれの物語の主題歌となるような一体感を持ってその歌の虜にするのがsumikaの魅力のひとつだ。しかし、「WOWOW欧州サッカー2024-25シーズンイメージソング」として書き下ろされた今作は、フィジカルに直接訴えかけてくる1曲。歌う者一人ひとりの姿が鮮明に映し出されるほどの引力を放つシンガロングが鳴り渡ると、壮大なサウンドスケープが広がっていく。《不安・焦燥・金・栄光》と呪文のように言葉を吐き出したかと思えば、《Bibbidi-Bobbidi-Boo/Singin’》と隣人の肩を優しく抱きかかえ軽快に語りかける。サウンド自体はシンプルだが、だからこそ片岡健太特有の言葉遊びが確かな輪郭を持って楽曲を象る。共有、共振、共闘、共鳴……数多の楽曲で使われる《Woo-Woo Woo-Woo》という祈りとも叫びともつかない声は、あらゆる境界を取っ払って決してひとりではないことを確信させてくれる。歌うだけ、聴くだけではたどり着けないものが彼らの音楽には確かにある。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より抜粋)
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