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メジャーデビュー10周年のニューアルバムなのだが、1曲目の“ネコカミたい”が6月に配信された時点で「絶対いいわ、次のアルバム」と確信した。10年前のファーストアルバム収録の代表曲“ビビった”のセルフカバーというかリメイクというか、バンド側の発表によると「セルフオマージュ」だそうだが、10年前と同じことを同じ勢いでやっている。つまりフォーマットは一緒だが歌詞が書き換えられていて、これが感動なのだ。興奮なのだ。泣けるのだ、今の心情がぶちまけられていて。ただ、心情をぶちまければいい曲になるかというとそんなことないわけで、つまりパワーや勢いを維持しつつ、伝える能力が10年分グレードアップしているということだ。「いかにもキュウソ」な曲も、アレンジや曲展開の面で新しさがある曲も含めて、他の収録曲も同様。昔インタビューした時、ヤマサキセイヤは「自分は詩っぽい歌詞が書けない、具体的なことしか歌えない」と嘆いていたが、それを極めるとこういうことになる、というよき例。(兵庫慎司)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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