イギリスのロック、唯一の星

アークティック・モンキーズ『ハムバグ』
2009年08月19日発売
ALBUM
アークティック・モンキーズ ハムバグ
アークティック・モンキーズの本質がはっきりと露わになったアルバムだ。ではアークティック・モンキーズの本質とは何か。それはロック・バンドであるということだ。アークティック・モンキーズはロックンロール・バンドではない、ロック・バンドだ。アークティック・モンキーズの登場があれだけ新鮮だったのは、アークティック・モンキーズがイギリスに久々に登場したロック・バンドだったからだ。当時、彼らはロックンロール・バンドと呼ばれ、その頃イギリスで大量発生していたロックンロール・バンド勢の中で図抜けた存在として脚光を浴びたのだが、それはそもそも違っていたのだ。イギリスの青春の4畳半事情をアコギ一本で歌うのもアレだからアンプにエレキを突っ込んでハジケてみた、というパターンが多い若手英ロックンロール・バンドとは根本的に違って、アークティック・モンキーズは最初からヘヴィーでソリッドな音の塊とリフとビートの構造と力学を内包していた。デビュー・アルバムがファストなロックンロールで占められていたのは、ただ彼らが若かったから、という理由に他ならない。あれは、ヘヴィーでソリッドなロックを、若さゆえに高速回転させた音楽なのだ。初期ツェッペリンみたいなものだ。

3作目になり、その回転速度をゆっくりと落とし始めた今作で、彼らのロックは露わになった。アメリカの、モデスト・マウス一派やTVオン・ザ・レディオ周辺の新世代と互角に張り合える、確固としたリフとビートの構造と深く多面的なメロとハーモニーを持つ唯一のイギリスの若手「ロック」バンドだということが、露わになったのだ。(山崎洋一郎)
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