二人の深い関係を思うと、盟友を失ったチャボの心痛はいかばかりか。そんな心配をした方は多いだろう。しかし演奏が始まると、雄弁なギターと歌声に文字通り圧倒されるはずだ。RCのナンバーが、チャボのなかで年月をかけて熟成され、新しい色や匂いを伴って生まれ変わっている。インストで情感豊かに演奏された“エンジェル”、チャボらしいブルージーな趣が加わった“お墓”など、どの曲にも新鮮な驚きと発見があった。
“君が僕を知っている”では、チャボが清志郎のパートを歌い、観客がチャボのコーラス部分を歌う場面がある。そこに清志郎がいなくなったことの重みを感じつつも、彼の音楽が今も生命を保ち、多くの人の手でリレーされている事実はやはり一つの希望なのだと思える。清志郎への思いと、未来への思いを一篇の詩にまとめ上げたチャボ自身の朗読にも、同様の意味で胸を打たれた。(神谷弘一)