09年は結成10周年のアニバーサリー・イヤーだった東京60WATTS。祝祭を経て、また新たな一歩となるのが、4作目となるこのアルバム。《どこに続いているんだろう いつ辿り着けるんだろう/何が待ってるんだろう》と“THANK YOU FOR THE MUSIC”で歌われるように、まっすぐに伸びた道を目の前にしているジャケットがとても印象的だ。高揚感でそわそわしているようにも、少しばかり不安をにじませているようにも感じられるけれど、この歌はこんなふうに続く、《そんな先のことは/分からないさ今ここにいる さあいこーぜ》と。じつに、いい具合にテイク・イット・イージーな感覚がある。弾むようなピアノと軽快なビート、酔狂なアレンジや大川毅の伸びやかなボーカルも、また然りだ。気張らない、ときにへっぽこな日常をも綴る彼らゆえ、らしいと言えばらしいが、とはいえ、10年間このバンドを続け、音楽を作り続けてきた自信や自負が、しっかり裏打ちされている。気ままなようで、自分の選んだ道なら、とことん突き進むべしという熱さがグルーヴとなり、ガツンと聴かせているのだ。(吉羽さおり)