キャリアの重荷を潔く捨てて

グルーヴ・アルマダ『ブラック・ライト』
2010年02月17日発売
ALBUM
グルーヴ・アルマダ ブラック・ライト
レゲエ/ダブに寄ったり渋いブルース・フィーリングだったり、07年の前作『サウンドボーイ・ロック』では妙に能天気でギラギラしたパーティ・ファンクを聴かせたりと毎度大掛かりな変化を見せるグルーヴ・アルマダ。そして今回はと言うと、ズバリ00年代以降のロックである。ノイジーでロッキンなダンス・ビートということではなくて、エレクトロ・サウンドを独自の解釈で取り入れてゆく若手ロック・バンドのようなのである。このフレッシュな手応えにはびっくりした。ぜひ、彼らの長いキャリアは脇に置いて、ニュートラルな耳で聴いてみて欲しい。

実際、彼らはフレンドリー・ファイアーズやMGMTといった00年代のバンドに触発されて本作の制作に向かったことを明らかにしている。真に「グルーヴ・アルマダらしい」という点ではユニークにして的を射たボーカル起用術が挙げられるが、本編11曲のうち4曲でリード・ボーカルを務めるエンパイア・オブ・ザ・サンのニックが素晴らしくハマっている。かと思えばブライアン・フェリーを登場させたりもしてまた見事。単純な変化ではない、時代を捉えた一枚だ。(小池宏和)
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