ビリっと殻を破る音が聴こえそうなほど、突き抜けたパワーポップを響かせたシングル“YOU&I”から約半年。遂に3rdアルバムが届いた。以前インタビューで斉藤(G/Vo)が、自分たちのことを「雑食系です(笑)」と言っていたのだが、その言葉がオブラートなしで表れているような一枚だ。まず“bye,my side”は、2ビートに切ないメロディ……つまり、遂にメロコアというルーツを剥き出しにしてきたな!と思えるようなキラーチューン。それでいて、“もしも”は、歌謡曲のように狂おしくうねるギターが軸を貫く新境地。さらに、いきなりシャバダバダバ~なんてフレーズが飛び出してくる“Jyanga Jyanga”などに顕著な、シニカルでユーモラスなところもスパイスとして健在。いろんな年齢層や趣向の人に響きそうな、自由にして濃い音楽性に着地しているのだ。これは、言いすぎかもしれないが、サザンオールスターズの現代っ子版と解釈できるところもあると思う。ライブハウスの汗臭い現場で育ってきた彼らだけれど、そこから飛び出して、エンターテイナーへの道へ自覚的に歩み出したような作品だ。(高橋美穂)