毎年、怒涛のツアー生活を送りながら作品をリリースしてきたdustbox。6作目となる今回のアルバムは、初めて、前作から2年という時間を経てリリースされる。昨年1年、120本を超えるライブを重ね、その間に時間をかけて曲を書き、丹念に手を加えることで、洗練された12曲が並ぶ。スケールの大きな物語を予感させる冒頭の“New Cosmos”から、タイトル通りにパワフルな突破力があるファスト・チューン“Break Through”、そしてドリーミンな“One & Only”。駆け抜けていくメロディが爽快な“Runaway Train”など。どの歌もアップリフティングだが、その後ろには切なさや哀しみ、やるせなさや心の脆さも透けて見える。噛みしめて体に染み込むほどに、自分がタフになれるように思う歌だ。繊細な想像力とダイナミックなエネルギーが、そこには込められている。アルバムを折り返す頃には、そのふたつが混じり合い、化学反応を起こして、爆発的なパワーを生む。喜びのボリュームを上げていくための、夢見る気持ちをすり減らさないための燃料が、この1枚にはたくさん詰まっている。(吉羽さおり)