CANの森へ

ジョニー・グリーンウッド『ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック』
2010年11月10日発売
ALBUM
ジョニー・グリーンウッド ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック
もちろん世の中的には映画『ノルウェイの森』は大きな話題となるのだろうが、ジョニー・グリーンウッドが担当したサントラが何より楽しみだった。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』での荒涼とした風景やセンシティブな心の動きをみごとに描き出した才能に本当に驚かされていたからだ。一人の音楽家としてとにかく気になる存在となった彼が、この話題の映画にというのは最高の組み合わせに思えたし、内容にも、レビュワーとしてはまずいことだが聴く前から確信は持っていた。

冒頭から丁寧に心象風景を折り重ねていく音を静かに切り裂くのがCANの“メアリー、メアリー・ソー・コントラリー”で名盤『モンスター・ムーヴィー』に収められたつぶやきにも似たボーカルに一気に情緒不安に陥れられる。やられた。この後も効果的にCANの音源が使われ、ダモ鈴木の歌声が鮮やかに『ノルウェイの森』が描く時代と重なっていく。この一種の狂気により美しい情景描写のはずの音群が歪んでいく流れもみごとだ。もちろんどんなフィルムでもというわけじゃないが、グリーンウッドは前作とこれによって現代最高の映画音楽家になった。(大鷹俊一)
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