「風の歌」を聴け!

GRAPEVINE『風の歌』
2010年11月17日発売
SINGLE
GRAPEVINE 風の歌
まずは詞を読んで欲しい。《かなしみを明日に変えてゆく/いつだってそばにきみを見て時を刻むんだ/とんだ幻想だと/どこの誰が言った》。2番はこう続く。《どこまでも先を描いてゆく/いつだって夢を見て揺れていたいんだ》。亀井作曲のキャッチーでスケールの大きなメロディに刻まれる確信的な言葉、壮麗なストリングスが澄んだエモーションをぶわっ!と解き放つ。これはバインにとって画期的な楽曲だ。確かなものは何もない――彼らの歌にはいつもそんなシニカルな感情がどこか横たわっていた。全てから自由であるために、悲しみに足を取られぬように。「風」という言葉はそんな、不確かな確かさを象徴するキーワードでもあった。しかし今、田中は、悲しみを明日に変えて先を描いてゆく、と歌う。明日を掴む、と安直にいかないところが彼らしいが、自らが音楽をやる意味と意志を高らかに鳴らせた傑作だ。

カップリングの“This town”は、陽気なのにソリッドなバイン風サザンロック。土と草と風の匂いがする。長田進との共演を経た久々のバインは驚くほどポップに開かれている。(井上貴子)
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