肉食系女子・オン・パレード

ケシャ『カニバル』
2010年12月08日発売
ALBUM
ケシャ カニバル
『アニマル』から1年を待たずに放たれるセカンドアルバム。タイトルも『獣』と韻を踏む『食人鬼』である。正しい。自身のパフォーマンス・キャラクターをこれでもかというほど巧みにアピールしている。ケシャとはつまり、このキャラクターである。音楽的なラディカルさなんてものは、このキャラクターの後について来ればいいと言わんばかりの完成されたビジョン。楽曲ストックだけなら山ほどあるのだろうな。キャッチーなキャラクターを徹底的に前面に出した自己表現という意味では、ビヨンセやM.I.A.、ガガといったバイタリティ溢れるソロ・パフォーマー達すらも凌ぐものがある。

ケシャのキャラクターというのは、人生そのものに植え付けられた底なしの飢えであり、渇きである(肉食系をイメージさせながらも実際にはベジタリアンであることが、自身の「キャラ化」を説明している)。けたたましいエレクトロ・ポップの中で華々しいセレブリティ・ライフをひたすらに求め、同時に自身の過去と重なって見える孤独な人々にはエールを送らずにはいられない。そんな彼女の姿はとにかく頼もしく、そして悲しいのである。(小池宏和)
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