昨年12月8日・9日に横浜アリーナで行われた一大ライブ・アクトであり、宇多田ヒカルのアーティスト活動休止前最後のステージとなった『WILD LIFE』を、ドキュメンタリー映像まで含め完全収録したDVD作品。それこそ“Automatic”から“ぼくはくま”や最新配信シングル曲“Goodbye Happiness”まで自分自身の音楽の歩みをダイジェストしながら、とてつもないスケール感のエンタテインメントを描き出していく――いや、その音楽活動の12年史がそのまま日本最大級のポップ・アイコンとしての自分自身を形成していったサイクルそのものを凝縮したような、華麗なる迫力に満ちたアクト。同時に、ともすれば会場中に吹き荒れそうになるオーディエンスの寂しさすら決然とした笑顔で歓喜への推進力に変えてみせていたこの日の佇まい、そしてギミックや虚飾を排したステージングには、一貫して純音楽的ストイシズムの中に生きてシーンと対峙してきた彼女自身の凛とした矜持が滲んでいる。表現者として先に進むために、あまりに大きな「第1期」を総括した彼女の決意が、最高の形で結晶している。(高橋智樹)