病みと闇がポップになる時代

アーバンギャルド『メンタルへルズ』
2011年10月26日発売
ALBUM
アーバンギャルド メンタルへルズ
不穏なパイプオルガンのようなキーボードの音色に、テクノポップとロックが混じり合い、妄執的知能犯=松永天馬の脂っぽい声と、「少女」のアイコン=浜崎容子のいたいけな声がユニゾンする――性欲に消毒剤をぶちまける様なねじれたエロティシズムと、キッチュでかわいくて病的であることにかけては間違いなく日本一のバンド・アーバンギャルド、遂にメジャー1stアルバム・リリース! 
 
松永天馬が偏執狂的に描き続ける「少女」と、その先の生と死というテーマは先鋭的かつポップさに磨きがかかる一方で、 “墜落論”の《ツイツイつぶやく墜落なう》にせよ、《君の病気は治らない だけど僕らは生きてく》と繰り返す最終曲が“ももいろクロニクル”であることにせよ、一部を書きだすのが野暮なほど全編に同時代を映し出す表現が炸裂。「少女」という永遠の神秘と、2011年という瞬間のカルチャー/コミュニケーションの交差点から繰り出される水玉模様のポップは、だから、「少女」のように賞味期限付きであると同時に永遠性も孕んでいる。現代の病みと闇がポップに鳴ってしまった。これはもう事件だ。(福島夏子)
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