来年1月に行われる3回目のライヴが渋谷公会堂、という着実かつ急速な盛り上がりの渦中にいるamazarashi。青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心としたバンド、というプロフィールには手がかりが少ないまま、楽曲が訴えかける力の強さがこれだけの状況を招いている。1stアルバム『千年幸福論』は、ナイーヴだけれど凛とした破壊力を旋律に添える秋田のヴォーカルが、膨大な情報量を含む言葉を次々と投げかける。例えば心が少しだけ壊れた瞬間のことや、忘れたくなかった景色のことや、誰かにもらった優しさの記憶など、聴いていると色んな感情が駆け巡って忙しい。しかし彼らの表現は決して難解なアートフォームではない。わかりやすいものばかりが街に溢れる中で、本当にわかって欲しいことを全て伝えたいのだという丁寧さと、そこに注がれる凄まじいエネルギーに圧倒される。そして“千年幸福論”や“未来づくり”で歌われていることは、とてもシンプルな願いだ。誰もが強く望む、明日のことだ。どんなに謎めいていたって隠すことのできない真っ直ぐな想い、真っ直ぐなまま多くの人に届け。(上野三樹)