今年2月より震災を挟みながら行われた全国ツアー『Mr.Children Tour 2011 “SENSE”』から5月のさいたまスーパーアリーナ公演の模様を収録。監督は丹下紘希、そして最新鋭のHDカメラ35台を投入して撮影された今作は、明るさを極力抑えつつも人の動きや表情をドラマチックに映しだす。序盤からだんだんオーディエンスの歌声を大きく引き出していくバンドのエネルギーの塊に驚かされ、中盤の“シーラカンス”で最もディープなうねりをサウンドで生み出し混迷をかき鳴らすと、次の“Ｉ”で折り返すように新たなエネルギーを放出していく。あらためて、このライヴ全体がミスチルが持つ「再生」の力を、ひとつの物語として描き出していることに気づかされる。それは、もうダメかもしれないと思った時に、もう一度生きよう、踏み出してみようとする力だ。多くの楽曲と紆余曲折と、しかし戦い鳴らし続けてきたからこそ今伝えられる真摯なメッセージのやり取りがここに収められている。それは2011年、ミスチルは音楽とどう向き合い、オーディエンスは音楽に何を求めたか？　という貴重な記録でもある。（上野三樹）