ポール・マッカートニーにとってはザ・ビートルズ解散後のソロ第2作目にあたる本作。当時滞在していたスコットランドで書かれ、ニューヨークへ飛んでレコーディングを行ったアルバムだが、そのメイキングの過程で当時の妻リンダもヴォーカルなどで参加し、その後のウィングス結成の動機づけとなったアルバム。ファーストがとりとめもなくとっちらかった内容だと不評だったことから、しっかり作り上げてきたアルバムだったが、楽曲、サウンドとアレンジがあまりにも多様性に富んでいたのが災いしたのか、この作品もまた当初は不評だった。しかし、ビートルズの解散騒動やビートルズでの仲間割れ、そしてジョン・レノンへの思いなどをメタファーとして語り上げる前半などは圧巻の内容で、後半へ進むにしたがって、語りがリンダと家族へと向けられていく流れも感動的だ。素晴らしい音楽作品なので、リマスタリング再発はあまりにも嬉しいし、シングル“アナザー・デイ”やこれまで未発表だったボーナス音源も楽しいものとなっている。DVDにはイギリスのテレビ向けクリップと短いメイキング・ドキュメンタリーも収録している。(高見展)