どんどん若返ってる!?

The Birthday『涙がこぼれそう』
2008年10月15日発売
The Birthday 涙がこぼれそう - 涙がこぼれそう涙がこぼれそう
最近のThe Birthdayはちょっとやばい。『MOTEL RADIO SiXTY SiX』もそうだったが、このタイトル曲はさらに「歌」が際立っていて、何度も何度も聴きたくなるキャッチーな毒を持つ名曲だ。「ロータリーに転がって、口の中に広がる血と鉄の味をかみしめながら、あの娘にラブコールする電話を探す。クツが片方見つからない」――こんな目のやり場に困るみすぼらしい情景が、なぜこれほどみずみずしく描かれるのか? 百戦錬磨のバンドが叩き出すスリリングなエイトビート。そして、こんなシンプルなロックンロールはいつもチバの声を無尽蔵に輝かせる。≪俺さ 今どこ?≫≪純粋って何?≫。うわ、言っちゃった! 記憶を喪失した少年と、痴呆症のロックの預言者が出会ったような、焦燥と虚無感が入り混じった叫びにぞくぞくする。このぎこちない疾走感は、ありそうでなかった新しい手触りだ。2枚のアルバムと武道館で壮大なサウンド・スケープの最果てまで旅した4人は、それをぶち壊し、また新しく何かを始めている。彼らはThe Birthdayという名が持つ生誕(ゼロ)の輝きにどんどん近づいている。(井上貴子)
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