akikoとんでもない音だ。1曲目から鳥肌が止まらない。“When I Die”という曲で幕を開ける、『akiko』というタイトルのアルバム――最初は遺書みたいだと思ったが、真逆だった。ぶっとくてしなやかな生命力をもった音とメロディ。矢野顕子のケモノ性が爆発した、スリリングで、ぞくぞくするほど美しい音楽だ。
辛い時は「ラーメン食べたい」と呪文をつぶやき、「たまに、母さんもほめられたい」と女たちを慰める、優しくて温かい、あっこちゃん。しかしライブを一度でも目撃した人なら、いかに彼女が本能的で、手に負えない自由な生き物かわかるだろう。今作はそんな矢野顕子の本質が、30余年ぶりに「音源」として凝縮された傑作だ。デビュー作『JAPANESE GIRL』の奔放なパワーと独創性を高いサウンド・クオリティーで復権させたグラミー賞受賞プロデューサー=T・ボーン・バーネット。ギターは鬼才マーク・リーボゥ。よくないわけないが、その想像を遥かに超えている。曲の核心を剥き出しにしたドアーズやツェッペリンのカバーも壮絶。この大人のロックの迫力を絶対に体験すべき。(井上貴子)