息切れしないタフさ

ドロップキック・マーフィーズ『サイン・アンド・シールド・イン・ブラッド~勝利への約束』
2013年02月06日発売
ALBUM
ドロップキック・マーフィーズ サイン・アンド・シールド・イン・ブラッド~勝利への約束
全米6位まで上昇した前作は、ひとつの物語に沿って作られたコンセプト・アルバムだったが、かなり根を詰めた制作作業だったらしく、今回は「気楽にやろうぜ」という姿勢で取り組んだという。ただ、単に原点回帰を掲げてガチャガチャやっただけのものになってはいない。前作と変わらずプロデュースはテッド・ハットだが、ミックスにはジョー・チカレリとジェイムズ・ブラウンを起用。前者はザッパの名作群を手がけ、近年もホワイト・ストライプスやストロークスなど未だトンガったところに関わっている大物で、後者はナイン・インチ・ネイルズのサラウンド・ミックスからフー・ファイターズのアナログ録音まで担当する優秀な人材だ。
 
どうせライヴをやりゃ必ず死ぬほど盛り上がるんだから、すでにアイリッシュ・パンクという強固な様式美を手にしたからには、スタジオ作品はツアーの土産程度のものでもいいんじゃないかとさえ思うが、優れた新作を形にしてきて本当にエラいと思う。ポーグスの“ニューヨークの夢”がモチーフなのは明らかな6曲目のクリスマス・ソングも、ドロップキック・マーフィーズらしい少しヒネたアプローチで、見事に我流で成立させている。 (鈴木喜之)
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