変化の集大成、普遍の意地

ステレオフォニックス『グラフィティ・オン・ザ・トレイン』
2013年02月27日発売
ALBUM
ステレオフォニックス グラフィティ・オン・ザ・トレイン
1997年のデビュー以来、ステレオフォニックスは2年に1枚のペースを崩さずアルバムを発表し続けてきたバンドだ。2009年までに7枚発表し、そのうち5枚が全英1位を記録したバンドだ。と、淡々と事実だけを書くとこうなるが、ギター・バンドの永続的な活動が極端に難しくなった直近のUKロック冬の時代に彼らがやってきたことが如何にとんでもないかは言うまでもない。
 
そんなフォニックスが古巣のV2を離れ、初めて4年ものブランクを要して自身のレーベルからリリースする会心の新作が本作である。フォニックスと言うとウェールズの頑固一徹クソ真面目というイメージが強いが、実際には過去様々なタイプのサウンドを開拓してきたバンドだ。思いっきりファンクを極めたこともあれば思いっきりフォークを極めたナンバーもあった。本作はそんなフォニックスのディスコグラフィー中でも特にヴァラエティに富んだ作品で、開拓地に4年ぶりに訪れた収穫の季節のようなアルバムなのだ。そして過去最高の多様性を得てなお絶対に揺らがないソリッドな存在感こそが、フォニックスをフォニックスたらしめてきた強さなのだと思う。(粉川しの)
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