メジャー派もインディー好きも

メイリー・トッド『エスカポロジー』
2013年04月03日発売
ALBUM
メイリー・トッド エスカポロジー
このメイリー・トッドというカナダ出身のSSWに惹かれた理由は、とにかくその作曲/アレンジのクオリティの高さに尽きるのだけれど、知れば知るほど面白いアーティストだ。今回のセカンド・アルバムも素晴らしい。「レディー・ガガmeetsノラ・ジョーンズ」と評するメディアもあるそうだが、「マドンナmeetsシャーデー」ぐらい言っても良いのではないか。セクシーな魅力と気品の高さ、ラディカリズムとウェルメイドなプロダクションを両立させる作風は、80年代ポップの最良の形を継承しているように思えるからだ。かといって、メイリーは気分だけのリヴァイヴァリストとは全く異なるが。

メジャーで充分過ぎるほど通用するクオリティの作品を生み出しながら、彼女はトロントのインディー音楽集団の出身でもある。アルパとも呼ばれるパラグアイアン・ハープの演奏を得意としていて、本作でも5曲目、9曲目あたりでその美しい音色が活躍している。加えて、フィリー・ソウルからジャズ、ブルースにディスコを鮮やかにミックスしてゆく手捌きは見事。洋楽シーンの盛り上がりには、こういう地肩の強いアーティストの活躍が大切。(小池宏和)
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