新作アルバム『Stranger』の翌週にリリースされる、アルバム未収のシングル。映画『聖☆おにいさん』の主題歌で、周知のとおり主役キャラ=ブッダの声優も星野自身が務める。漫画やアニメの笑いに息づくものを読み取ろうとする視線、誌面や映像を見据えるという行為そのものが美しい詩情と共に綴られていて、これは星野 源から作家たちに寄せられるリスペクト精神の表れの一曲と言えるだろう。面白いのは、軽妙で愉快なスウィンギン・ロックンロールが、実直なテーマを半ば包み隠すように鳴らされているということで、これが漫画やアニメのテンポ感や笑いに対する音楽的な批評になっているということ。ライヴで盛り上がりそうな曲になっているのも嬉しい。
カップリングの“ダスト”がまた凄い。歌詞についてはぜひ自分で触れて受け止めて欲しいのだが、なんだこの柔らかなタッチのブルース・ファンクと共に伝えられる輪廻感。それこそブッダじゃないかという、身近なテーマにして壮大なスケールのナンバーである。思いも寄らなかった事柄だけれど言われてみれば、という、世界が変わる一曲。(小池宏和)
ブッダ=星野 源のシングル
星野 源『ギャグ』
2013年05月08日発売
2013年05月08日発売
SINGLE