アイロニーでもなければ、レトリックでもなく、つまりはトートロジー。まさにドレスコーズな1曲だ。そもそもトートロジーとは、一見意味があるようで、意味を成さない命題のことを指す。「君は君である」「猫は動物である」など、言葉の外にある世界の事象とは関係なしに、この命題は常に正しい。そして志磨は、ここで宣言するのである。ロックンロールとは、トートロジーであると。《1位以外は　1位じゃない》《最高以外は　サイテーなんだ》と。凄い。アニメのエンディング主題歌ということで、ファンの間では賛否両論の1曲だが、この“トートロジー”を讃えずして、何がドレスコーズだと本気で思う。シンプルなコード進行にノイジーなバンド・アンサンブル、そして扇動者のようにヒートアップする志磨の歌。敢えてここでは歌われていない最強のトートロジー、つまり「ロックンロールとは、ロックンロールである」を完璧に表現し切った強烈なシングルだ。今年3月の日本青年館のライヴでは何かの予感を感じたのだが、つまり、こういうことだったのか。ドレスコーズは、ドレスコーズである。（徳山弘基）