新しい年もくるりと一緒に

くるり『最後のメリークリスマス』
2013年12月18日発売
SINGLE
くるり 最後のメリークリスマス
年末になると、世間の慌ただしさに心がついていかなくて、ひとりだけ置いていかれたような気分になる。世界は新しくなろうとしているのに、変わりたくない自分がいるような。メジャーデビュー15周年記念ボックスの第二弾であり、くるり初のクリスマスソング“最後のメリークリスマス”主人公もそうだ。クリスマスソングは世に数あれど、春になれば慣れ親しんだ街と人に別れを告げなければならない心情と雪降る街の風景をオーバーラップさせ、「最後の」寂しさを温かくセンチメンタルに描きだすところがくるりらしい。鈴の音もコーラスもファンファンのトランペットも、華やかなのにどこか無常観があって、ぐっとくる。続く“きよしこの夜”のアコースティックなインストも、エンドロールのような情感で心地よい。前シングル『Remenber me』の時も感じたが、最近のくるりは、聴く人の傍にそっと寄り添うような優しさに溢れている。普通に生活する中で感じる心の機微を、人はなかなか言葉にできない。それをこんなにも丁寧に、繊細に代弁してくれるくるりの音楽は、やっぱり人生に欠かせない。(小新井知子)
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